黄金分割で構造物の形状を決める。
構造物の形状を黄金分割の数字から決めたのはこの橋です。スパンが20mでした。橋はスパンが重要なので、スパンの20mを基準長さとして黄金分割で数列を出しました。今から思うとモジュロールの赤の数列を6フィートではなくてスパンの20mにして計算していたわけです。20m,20/1,618=12.36m,12.36/1.618=7.64mと数字が出ますが、その値は連続ではなく、大きくジャンプした数列になっていました。10mに近い数字が欲しくても、12.36mと7.64mしかなければ使えません。そこで中間値を決めました。12.36mと7.64mの間に6個の中間値を黄金分割で計算して求めました。今はこの中間値のことを二次黄金値と呼んでいます。今は二次黄金値も6個から9個に増やし、3次黄金値も決めました。この数値を使って橋脚の形状、橋の断面で張出部の形状を決めました。あまり無理をしなくても、数値を選んで決めることができました。ここの経験で3つの問題が生まれました。
1 スパン20mを基準寸法として数列を出したが、橋梁の隣の道路や、建築物は20mとは無関係であるから、全体としての調和がとれなくなる。小さなものから都市計画のようなものまで共通の基準長さが必要。
2 数字の優先順序がわからなくなる。最初は書体のスタイルをイタリックにするなどして中間値を表示していたが、そんなものでは整理できなくなった。
3 メートル法で数値を表示すると数値を丸めたがる。1829なら1830や1800と実施設計者が変更してしまう。
この3つを解決する黄金分割の新しい単位を作ることにしたわけです。
この問題を解決するために黄金分割の独自の単位を作ることにした。